除草剤として広く使用されているアトラジンにサンショウウオに深刻な影響を与える可能性があることが指摘されています。
サンショウウオの幼生をそれぞれ4/40/400ppb(ppmの1000分の1の濃度)のアトラジンに変態するまで暴露した後、個体が性成熟するまでの経過をケンタッキー大学の研究者が調査しました。
500日間の調査の結果、40/400ppbの濃度に暴露されたケースでは、幼生の時点での死亡率の上昇が確認されました。変態後の死亡率は、アトラジンに弱い個体が死亡したおかげで個体間の生存競争が穏やかになり、それほど高いものにはなりませんでした。
しかし、暴露していない個体と比べると、これらのサンショウウオ生存確率は極めて劣っていました。
4ppbのアトラジンの場合は、暴露の影響は約1年たってから現れはじめました。
この種の農薬の安全性を検討する場合、非常に短い期間の調査しか行われないのがほとんどで、1年を超えて追跡調査するということは通常は行われないそうです。
今回の結果は、両生類に与える影響を考えた場合、長期間の追跡調査が必要だという事を示しています。また両生類の変態前のアトラジン暴露は、幼生の間だけではなく、両生類の一生を通して影響を与える可能性があります。
これ「性転換してしまう」で少し触れたのと同じ農薬です。
アトラジンが両生類の生殖器官や性決定、死亡率に影響を与えるのは、ここ数年研究が進み出したテーマの様です。
ここで問題なのが、アトラジンの濃度です。両生類はどうやらアトラジンにひどく過敏で、人に安全とされる濃度の100分の1程度でも問題が発生しています。
例えば、食べ物に含まれるアトラジンの残留基準は主なもので10-20ppbです。毎日食べる全ての食品に10ppbのアトラジンが含まれていたとして、その食事を一生採り続けても人間には問題ないとされています。
カエルの場合、ある研究の結果によると僅か0.1ppbの濃度で悪影響がでています。普通に降っている雨水ですら時には1ppbのアトラジンが検出されるそうです。国内の水道水からも0.1ppbレベルのアトラジンが検出されています。
調べた範囲ではアトラジンの使用は特に禁止されてはおらず、現在も除草剤として利用されています。ただ、幾つかの農協などは自主的に使用するのをやめているようです。
ならコープ (一番下の使用制限農薬参照)
平成15年度のアトラジン使用量は福井、京都、奈良、和歌山、高知、沖縄の各県で0、それ以外の県で合計50tが農薬として使用されています。
いきなり我々がどうこうできる問題ではありませんが、もし農薬を選ぶ機会があるなら、アトラジンは選ばないという事を頭の隅にでも置いておいてください。
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